スライレンドに現れた『赤と青の魔女』の事件から一週間が過ぎ、ティディアは、マスメディアからも国民からも要望強く、また騒ぎの収束を見るには避けては通れぬ会見を開くことにした。
 ――主役はティディア姫ではなく、ニトロ・ポルカト。
 事件の一番の当事者で、一番の被害者。
 彼のコメントを誰もが欲するのは当然だった。特に異常能力者ミュータントを間近に見、直に接したのは彼だけなのだから。
 これまではニトロの『精神的なショック』を理由に会見を引き延ばしてきたが、そろそろ限界だ。こちらから餌をやらねば、飢えに飢えたマスメディアがニトロにどんな迷惑をかけるかもわからない。
 ニトロは会見に応じることをヴィタの懸命の説得の末、了承してくれた。
 そして彼は今、会見場のある王城にいる。
 セキュリティのことからも今回ばかりは会場は城以外に考えられない。ニトロには断固として拒否されることを覚悟していたが、彼はそれについてはすんなり納得してくれた。
 ――但し。
 戦闘用アンドロイドに乗り込んだ芍薬とハラキリの同行を絶対条件として。
 無論、断る理由などなかった。

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