その日、ティディアはマナランの市役所前広場にあつらえられた演壇にいた。
 広場はマナラン市民全てが集まっているかのように人で埋まり、各メディアの報道陣がその映像を全国に配信する。寂れた町が錆を落とすように身震いしていた。そして、慈悲深くも町の復興のため、格別なるお力をお貸し下さるという姫君に期待の熱視線を注いでいた。
 あの過去の栄光を取り戻す時がきたのだ!
 数々の改革を行い国を高め続ける王女は誰もが驚き誰もが注目する計画を用意したと言う。
 サプライズ!
 それはまだ誰も知らない。家族も、側近も、『恋人』も。まだ美しい姫君の胸の内にある、家族も側近も『相方』でもある彼ですらも驚くものだから楽しみにね、と麗しの姫君は言う。
 計画の発表を前にして、既にマナランには国中の目が注がれている。それだけでも素晴らしい成果。この上、ティディア様は何をもたらして下さるのだろう。
 ああ、あの過去の栄光を取り戻す時がきたのだ!――マナランの市民が期待に胸を高鳴らさぬはずもない。
 ついに時は来た。
 演壇に立つ第一王位継承者が歓声を鎮め、そして、マナラン復興の始まりを高らかに告げた。
「この広場に『大便をする女の像』を建てる!」
 と。

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