「随分ほくほく顔で戻ってきたじゃねぇか」
「やー、楽しかったわー。変に舞い上がった10人ばかりが話を聞かずに持って帰っちゃってね、その内の一人は渡した場所がトイレ近くだったものだから早速“使用”しちゃうところだった」
「止めたろうな?」
「止めなきゃニトロが怒るでしょ?」
「怒られなきゃ止めねぇつもりか」
「怒られない事を何で止めなければいけないの? というか怒られる事でも何でやっちゃいけないのよ、むしろ何で怒るのよ」
「付き合わないぞ」
「えー。他愛無いお話から小難しいお話までたくさんお話ししてお互いの理解を深めましょうよぅ、さっきみたいにぃ」
「で?」
「止めに入ったらズボンを下ろしていて……見ちゃった」
「ああ、かわいそうに」
「そう、私はかわいそうなの、慰めて、頭を撫でて慰めて」
「いやお前じゃねぇ、相手がだ」
「あれはあれで面白かったわ。熊みたいなのが女の子みたいな悲鳴を上げちゃって、やー、可愛かったわー」
「……」
「そ、察しの通りあの大道具係り」
「彼はお前の『マニア』だろ?」
「未遂で良かった」
「クソ女め」
「他のも止めてあるから安心してね」
「大道具さんのメンタルケアもしっかりやっとけよ」
「なかなかご立派、って誉めといた」
「……」
「でも「言いたいことは解ってる、もう言うな、何も言うな」
「こんな私がお姫様!」
「ぃやかましいッ!」
「でもネタバラシ後にクァランを食べた皆はなんだかんだで幸せそうだったわ」
「そりゃ良かった、けどなあ、そもそも何で座薬なんだ?」
「雑誌に『おもしろ同音異義語特集』があって、そこにラミラスこくには『ザヤク』って料理がある――って出ていたから」
「ああ……」
「ちなみにあっちの『ザヤク』はこっちで言うなら『脳味噌のムース』」
「マジか」
「あっちの晩餐会で食べたことがありました」
「マジでか」
「それを思い出して懐かしかったから座薬にしてみたの」
「なんでかッ!」
脳味噌あたまのお通じがよくなるかなーって」
「全然思ってないよな」
「ところがこっちがすっきりするばかり」
「あーもういい、仕事行くぞ」
「はーい」



末吉

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