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2007年09月30日

覆面作家企画3:Bブロックの感想&推理

すべりこみで前回同ブロックだった星野莢さんのいるBブロック、推理と感想!

推理結果

B-01  その空に神は存在するか      >nekoiさん
B-02  火星の空の下 チャイルドは歌う >茅さん
B-03  天使の住処              >文染アヤノさん
B-04  空にいちばん近い場所       >菊さん
B-05  空の色                 >碓地 海さん
B-06  スケア・クロウ             >天城麗さん
B-07  空に咲く花               >星野莢さん
B-08  空に包まれて             >恵陽さん
B-09  ウテンケッコウ。           >葉山郁さん
B-10  箱の行方               >袋小路はまるさん
B-11  人でなしの恋             >東野アキさん


感想は書いてたらだんだん長くなってしまった……。
詳細は<続きを読む>から。がんがんネタバレしてますので、未読の方はご注意下さい。



B-01  その空に神は存在するか   >nekoiさん

 前半の軽妙な語り口からは想像できない後半のテンション、その落差が物語を引き締めている。「実は主人公は人工知能でした」物はSFの王道だと思うけど、プログラム内でさらにデバック作業を行わせることでその予測を完全に潰された。そーきたかっ。初めはゲームの中に忍ばされた何か人格を破壊するプログラムがあって……みたいな陰謀絡むサスペンスものかと思っていましたよ、完全に。
 「空の王の三人の神」の会話は主人公の視点の後に読むとどことなく空恐ろしくもあり、もしこれが長編になったら今度はこの三人が恐怖に襲われるのでは? という想像もできて面白い。クロダと『俺は空の王の神になる』と、それをほのめかしているからこそ。
 読み終えた後に思えば色々な仕掛けがあったことに気づかされる。冒頭に戻ってみると、最初の一文に、ぞくり。


・挿入が『――~~――』
・補足的に形容や描写、評価を文の最後に付け足す傾向。日記に同じリズムがあるかも。口語が活き活きとしている。
・MMO好き?

:文章の語り口が共通している気がする。「主文。主文を補足する一言。」みたいなところ。それに「クリスマスオーナメント」の『くそ、別れてしまえ。』と『しかもきっと可愛い。多分な!』に何となく共通のリズムを感じたので。




B-02  火星の空の下 チャイルドは歌う   >茅さん

 初めピートが大学院生なら少年という代名詞はおかしいんじゃないかな? と思っていたら、途中でなるほど。
 優しいSF。活き活きとしたエリカの正体が判った時、それを予想していなかったから驚いた。驚いて、次々と出されていく情報にエリカが常識からは外れた存在だということが解っていき、そしてその理由が明かされた時には爽快感にも似た納得。生まれた環境のために、という外へ出られない理由が重みを持ちながらことさら哀しくは描かれていなく、むしろたくましさを感じました。
 一つ一つの存在が持つ理由を知らせるための構成が綺麗なんでしょうね。その流れに乗って読み進めていくと思い浮かぶ光景の美しい「歌」の場面やパペットとマスターの関係など物語を彩る温かな場面が現れて、最後の一文は少しの哀しさもはらんでいるはずなのに、読了後は妙に心地良かったです。
 「一面の荒野の上、淡いブルーの空の下」という表現が好き。そこで歌う歌姫の姿は、神秘的でもありましょうねー。


・『VIP待遇の赤いカーペットのずかずかと歩き』誤字、時間注意。>茅さん、推敲に時間かけられなかったと日記に。
・「!?」全角>茅さん
・「しーッ!」「ええッ」→末尾にくる「っ」が「ッ」>茅さん
・英数字半角
・「台詞」「頂戴」>茅さん
・読点少ないほうかな。
・文中強調「」

:共通項の多さから。




B-03  天使の住処   >文染アヤノさん

 長編の導入のような作り。設定や世界観が、ここには出ていないだけでまだたくさん作りこまれているんじゃないかな、と感じる。それとも書いている内に設定や世界観が作者さんの想像以上に膨らんだか。
 『勘』を箱の中に閉じ込めるというアイディアが面白い。ただその『非言語魔法』と比較になる魔法が出ていなかったので、その特異さを十分に理解できなかったのがちょっと残念。想像すると『現代魔法』はシステマティックなのかなー、なんて思えるんだけど。
 なかなか一癖も二癖もあるキャラクター達。腹黒お嬢様に怪しい魔法具店主、主人公の小悪党っぷりでは太刀打ちできないでしょうねえ。お嬢様と店主の間で話がついているくらいだから箱の運び屋は別に盗賊である必要はないだろうし、だとしたら、お嬢様は盗賊になりたいために主人公を巻き込んだのかな?
 もしそうだとしたら、振り回された上に厄介なものを抱え込むことになった主人公に合掌。でも強力な仲間を得たんだからいいんじゃないかな。その後はいい感じで使い回されてるのが目に浮かぶけど、それでも名目上はリーダー名乗っていそうだなぁ。

・『点点』と「々」を使わない。

:しょ、消去法の三択で、文章がこちらだと思ったので。




B-04  空にいちばん近い場所   >菊さん

 亡霊の誘いのような、亡霊に憑りつかれたまま忘我にあるような、それとも死の時を美しいものとして待ちわび陶酔しているかのような。
 一定のリズムと素直な語り口で「怖い」という要素はないはずなのに、ホラーやサスペンスとはまた違う不気味さも感じる。
 主人公は不治の病を患っているみたいだけど、もし診察時にこの調子で語られたら家族も医者もぞっとするだろうなあ。
 短いが故に、作品全体の内省的な空気が活きている。


・三点リードが「……(表記…)」使い分けてるのかな。>菊さん、恵陽さん(一部)
・「口許」。「口元」ではなく、こちらを使用。

:菊さんは「!!」と感嘆符が二つ並ぶ時は半角になるが、「!」と一つだと全角。「?」もそうなので、記号の特徴が一致。また、より表記が近いのも。




B-05  空の色   >碓地 海さん

 冒頭から不吉な気配が漂い、『まさかこの人間が。』で展開に想像がつく。
 そこからはニエバとエレンのやり取りが微笑ましく穏やかながらも、結末がどうなるのかという緊張感が続く。エレンの体の悪さを知るにやはりと思い、ニエバのぎこちなさにもしかしたらと思う。もしかしたら、延命に繋がる方か? と。
 そのせいか先の展開が分かりながらも、ハッピーエンドを期待して飽きずに読み進めることができた。といってもこの作品はバッドエンド、という感じじゃなくて。ニエバやエレンのキャラクターのせいか、淡々とそうなることを肯定して進む雰囲気のためか、切なさとか哀しさはあるけれど奇妙にすっきりとしている。
 何でだろうと思うと、もしかしたら、みんな諦めが良すぎるからなのかな。レストもすぐに悟ってしまったし。エレンはその日は体調が良かっただけで、レストも彼女の死を覚悟していたくらい、だった可能性もあるのか……。
 死を暗示する『手の中で花だけが冷たい』の一文が、とても印象的でした。

・「筈」
・「Aのせりふ」地の文。
・「ッ」
・挿入に『――・・――』

:しょ、消去法で。




B-06  スケア・クロウ   >天城麗さん

 何だか読んでいて、小学校の図書館で本を読んでいた時のことを思い出しました。内容は忘れちゃったけど、ズッコケ三人組とかルドルフシリーズとか。
 短い章を立ててそれを次々と重ねていくからリズム感が良く、またスピード感がある。状況や人物の背景・情報がほとんどと言っていいほど出ていないのに、それでもぐいぐいと引き込んでいくのは文章だけでなく、この構成の働きも大きいんだと思う。児童向けのファンタジーといった世界観(誉め言葉、念のため)の引き出しも多くて、きっと長編にしたら不思議世界のオンパレードで楽しそう。
 必要最小限の情報開示だからラストは謎を残しつつ、でも想像の余地が残って余韻は良い。スケアクロウをスケア・クロウと中黒で分けるのは何でかなーと思っていたら、これは姓名だったのかな。「スケア・クロウ」は案山子ではなく、絵本を読みすぎて子どもならではの想像世界に入っちゃった幼子だったのかな? と。

 追記:なるほど、章立てたのは『そのため』もあったんですね。楽しんでますねー。(^^


・英数字全角
・イギリス旅行したことある? それとも旅行好き?
・オノマトペが面白い
・「~~。」フェイク?
・「それで王さまは青年はどこかへ追いはらってしまった」誤字、時間注意。
・「!?」
・漢字の開き方のバランスがとても童話・児童文学らしい。読みなれている?

:ヒントから。これは間違いないや。




B-07  空に咲く花   >星野莢さん

 華ちゃんうぶですねぇ。鈍すぎるというか……。一人でテンパって一人で自滅するようなタイプに見えるし、そこに若干天然も入っているから地の自己ツッコミ激しい文章が楽しい。
 それなもんだから最後の河野君の『華ちゃん評』が物凄い勢いで納得できる。一人称だから想像するしかないけれど、他から見たらこの文章のように表情変化が豊かなんでしょうね。一つのことに浮いたり沈んだりと。
 それでその華ちゃんに告白するためにわざわざ万華鏡なんて洒落たものを自作する河野君もなかなかに初々しい。このカップルはほのぼのカップルとなりそうですねー。
 少女漫画の短編のような雰囲気かな? 読んでいて何だかニヤニヤしてしまう面映いお話。この二人は色々と鈍さからの勘違いですれ違いそうな感じもするけど、またニヤニヤしてしまう展開で仲直りしていきそうですねえ。
 そうそう。冒頭の作品は絶対に河野君に読ませたほうがいいと思う。万華鏡のお返しに。そして顔を真っ赤にすればいいんだと思うんだ、二人して。


・「疎らな」開かないのは珍しいかな?
・女性かなぁ。女性のファッションの下り、自然。いつも苦労する部分なだけに気になった。
・『……ッ』


星野莢さん? 根拠はないけど、前回の企画作品と同じ空気を感じたので。




B-08  空に包まれて   >恵陽さん

 目が見えない人に色を説明するのは難しいよな……と、途中からずっと考えながら読んでいました。基本となる色が分からないと濃淡も分からないし、色の持つ温度は別問題だし、光の波長でどうのと言っても色彩そのものの説明じゃないもんなぁ……。美醜の問題も難解……。理屈で説明しようとしたところでどうにも行き詰ってしまう。理論や概念を納得させることはできるかもしれないけれど、感覚的には無理。それなのに問いの答えはとても感覚的なもの。口ごもることは目に見えている。
 だからこそ、この説明できないことを共有できないルウの孤独が鮮明にされて、言い表せないのであろう苛立ちが語りから伝わってくる。
 それに対するウィルの答えは全ての「解答」にはなっていないけれど、空がどういうものかという問いへの解答にはなっていて。それを真摯に考えて答える人柄だからこそルウも信頼してて、答えの得られない孤独の原因を抱えていても最高の瞬間を得られるんでしょうね。
 ……やるなあ、ウィル。


・文中強調『』

:しょ、消去法……。文中強調『』で、これ以外に特徴的な記号がないことも根拠といえば根拠。「?!」を見かけたけど、この作品にはないからなあ。




B-09  ウテンケッコウ。   >葉山郁さん

 所々に挿入される風景描写が綺麗。『重たげな花房で雨滴を弾く鮮やかな青』目に浮かぶ。
 それにしても男運のない(なかった、かな)主人公。上司、だと思うけどセクハラ社員のせいで職を失い、夢(?)を追いかけてと海外を放浪する彼氏に待ちぼうけをくらって。そのやるせなさが雨の情景と重なって息苦しく、その中で柴犬みたいな千尋君がやけに存在感を。無駄のない関係性が巧みで、ちょっとありえなさそうな二人の出会いもすんなり納得してしまう。
 途中で、ある意味主人公の夢が一番大きい夢なんじゃないかなーと思い……でもそれが叶えられそうな予感が滲まされていて、それはいつか今かと読み進めていくと、最後にやられた! なるほど、そう来るか。巧いなー。
 雨、雨続きの風景と賞味期限切れの彼氏との関係に重苦しい雰囲気が、最後に晴れ晴れとして。最後の最後で言われると思った言葉を逆に自分が言おうという主人公の色々なものを振り切った態度が気持ち良かった。


・考古学、専門用語。調べればできそうだが、それなりに興味はあるかな?
・突然誕生石の話が出てきた。枚数オーバーして改稿、直しそびれ?

:葉山郁さんの前回の覆面企画作と台詞回しの饒舌さが形を変えたらこういう感じになるかなと。




B-10  箱の行方   >袋小路はまるさん

 家宝の箱は複雑な思いを抱き続けていたんでしょうね。自分にはちゃんとした役目があるのに、その役目を果たすことは出来ず、それどころかただのお飾りとしての役割を強いられ続ける。そりゃいくら大事にされていても飽きますわ。
 店はさしずめ持ち主の元で生きることを我慢できなくなったツクモガミの駆け込み寺でしょうか。そうすると主人公は古びた人形か何かって可能性もあるのかな。ホコリっぽい店の中で主人公と対する操られた貴族の当主の姿を想像すると、妙に不気味だったり、逆に微笑ましかったり。
 それにしても当主に憑依した「空箱の意識」はなぜ自分の出自を問われるまで忘れていたのでしょうか。ここに来るまでに何かトラブルがあって、それで一時的な記憶喪失になっていたのかな。それとも人間に憑依する時のリスクか。それでも『プラチナクォーツ』にやってきて手に持つ箱をどうにかしなくてはならない、とだけは憶えていたのかな。
 もしそうだとしたら……執念ですね。本っ当に『家宝役』が嫌で。


・インデントミスあり

:ミステリィ系とくるなら、袋小路はまるさんで。




B-11  人でなしの恋   >東野アキさん

 『人達の間は一度こじれると大変なことになると聞きます。』とは何だかA.I.か何かのやり取りのような雰囲気。そう考えると「M」と「W」はリンゴと窓のことか? と考えながら読んでいると、しかしどうも釈然としない。女性は確実に人間だと思うのに……と思っていたらなるほど。
 トリックはそう『正体を隠そう』とはしていないように見えるけど、そこは主題じゃないでしょうね。謎の相手とメールをやり取りしていたと解った時の慌て振り、そりゃ驚き慌てますよねぇ。メールのやり取りの親密さが増すにつれて解けていく文体のバランスはお見事。これだけでどういう状況かも解るのも、また。
 最後は自身の正体も「心」も明かさず壊れたコンピューターは、ここまできたら正体を明かしてあげた方がまだ恋の相手に安心を与えられたと思うんだけど……不思議なこともあるものだと思うか、それとも怖いと思われてしまうかは別にして。


・「!!・?」半角、一字空けは半角スペース

:東野アキさんはTINAMIの今日の一枚のSSを書きなれている。短文構成のエピソードを重ねている形だから、当てはまるか。TINAMIの運営に関わっているならあのコンピューターのエラーメッセージも見慣れている? あ、TINAMI良く見てます。




やはり難しいですね。
前回も時間内に全ては出来なかったので、今回はじっくり。

投稿者 楽遊 : 2007年09月30日 23:51

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