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2007年02月10日

覆面作家企画2・Eブロックの感想と推理

Eブロックの推理と感想です。

作品読んだ時のメモを手がかりに一致する方どこじゃとさまよい、ファーストインプレッションと最終予想の差に葛藤しつつどうにか推理終了。


楽しいんだけど、相変わらず難しい。
三割当たりゃ、も、上々です。


Eブロック:推理結果

E-01  星                   : teaさん
E-02  遠い星の研究生         : 楠 瑞稀さん
E-03  真夜中の散歩           : Sword Breakfieldsさん
E-04  こうして、星はおちた        : 九里史生さん
E-05  いとしのメリラ           : 虹屋よしゆきさん
E-06  レディ・ホログラムの歌声は  : 裏乃さん
E-07  夜になったら会いに行こう   : 小梅さん
E-08  小天狗の森            : 梨沙さん
E-09  星の音見つけて         : 櫻井水都さん
E-10  フォーチュン・スター       : 曽野 十瓜さん
E-11  光の手               : 土塀賦之さん


感想と推理メモは盛大にネタバレしてます。
続きを読むからどうぞ。


……それにしても初めの予想から変わったなー。
これで初めの予想が正解率高かったら笑うしかね。





E-01  星

感想:
壮大な歴史の物語、その叙事詩をダイジェストで読んでいるようでした。しかしダイジェストとはいえ不十分というわけではなく、100年ごとに区切られたエピソードが、その間に起こったであろう出来事を想像させてくれて楽しい。
章ごとに視点を交互に転換して歴史を語っていることが、その想像を膨らませてくれる。
と、思ったところで、もしかしてこの視点。舞台はずっと「地球」か「月」かどちらか一方だけだったのかな。その時折で空に浮かぶ星の呼び名が「地球」・「月」と変わっていただけで。でもそうすると、100年の間で歴史が破断するくらいの出来事があったのか。また想像が膨らむなぁ。
形式としてはずっと続けられそうだけど、あの部分で切るのは、世界には絶望しかないということなのか。


推理メモ:
?と!後に空白なし。
字下げなし。
「」内は字下げ有り。
一文の長さを調節してリズムをとったり、印象操作をしている気がする。blogで小説書いてる人か?
三点リードが『…』
この長さで書き慣れていそう。


予想 → teaさん 『simple text


blogではないが、blog並みの幅で書いている。
三点リード。
字下げなし。
?・!の後、空白なし。
この長さで、も一致。
「」内字下げも見られる。

小梅さんも一致率高く迷うが、より文の長さを調節し、一致率高いteaさんに決定。






E-02  遠い星の研究生

感想:
混乱の絶頂を極めていると言いながら、なかなかどうして冷静に状況を把握している主人公がナイス。
て、ひげ? 少年かと思ってた……ら、そう来たか! なるほど、だから台所には行きたくないわけですね。先入観を逆手に取られてしまったなー。巧い。
しかし最後まで読むと、この光景なかなかシュール。僕はヤツらに対してそこそこ免疫があるので問題ないですが、嫌いな人はホラー以外の何物でもないでしょうね。
最初から最後までコミカルで、でもよく考えるとブラックなところもあり。読んでる『こちら側』からするとぞっとしない話。
だけど……人間がいなくなったら、多分主人公の種族は生きていけないんじゃないかな。共生相手がいなくなっちゃ。いや、これは野暮か。けどもしこれが、下手に高い知能が裏目に出ることを暗示していたら、深い。
あー、それでも生き残るかなぁ。ヤツらしぶといし(笑


推理メモ:
字下げミス有り。
コントとか好きそう。
皮肉を込めたコミカル系が得意そう。
擬人化ものの作品あるかな。動物が主人公とか。


予想 → 楠 瑞稀さん 『飛空図書館


コミカルなやりとりや文体を見るに、共通性を感じる。
会話と地の割合も似ているか?
あと直感。なんとなくこの方か? と。






E-03  真夜中の散歩

感想:
バックパッカーの話かなーと読んでいたら、急にきな臭い舞台に。
戦場で見る星。考えてみれば、これほど情緒的なものはないのかもしれませんね。星は死生観によく関わるし、満点の星空に自分の小ささを知る、なんてこともありますし。それが戦場、という非日常極まるところであれば、なおさらに。
だけど確かに、あまりに星が見えすぎると星座は見つけにくかろうて。
そういや星座を作った人たち、その頃はよーっく星は見えたろうに、よくもまあその中から星座にする星を選択したものですね。
て、これもしかして日本? 国外逃亡がほぼ不可能って事は、大陸じゃないだろうし。
設定的には暗い話なのに、主人公の健康的な強さが爽やか。真夜中の戦場としても、おとめ座の響きと相棒との語らいにどこかほのぼの。しかし漂う哀愁がまた一つ物語を彩っている。


推理メモ:
「クラッキング」。一般的になっている『ハッキング』を使わず、明らかに区別。コンピューターに詳しい人か。SFメインの可能性も。
改行少ない。
漢字使用率高いが、フェイクの可能性も。
ノリノリで書いていそう。好きな題材? だとすれば、戦記ものも注意。
『――……』の表記


予想 → Sword Breakfieldsさん 『Fool's Region Extra


SFが好き。(一致:少し弱いか?)
改行少ない(一致)
『――……』の表記(一致)
物語のまとめ方が似ているかな?






E-04  こうして、星はおちた

感想:
冒頭を彩る炎の描写に緊迫感が膨らみます。登場人物の名前から中央から西アジアの王朝がイメージされました。
『孤高の星』の毅然とした態度に、しかし自己矛盾をはらんだ言葉が悲しく、そしてそれを、おそらくは無理だと悟りながら手に掴もうとしていた『革命の星』の想いが哀しい。両者をつなぎ合わせる、絆も。
一つの国と共に滅ぶ者、滅ぼす者の両者の視点から描かれた擦り寄らない言い分が、この物語の結末を予感させて緊張感が溢れていました。
厳しい話。だけど、この状況でなければ二つの星は寄り添えなかったのでしょうね。
ところで、「ハダル」は星の名前なんですね。なんとなく検索してみたら出てきてびっくり。もし作者さんがそれを知った上でつけたのだとすると、二つの『星』の最期を見届ける者に相応しい名前を与えたんでしょうか。


推理メモ:
神話に詳しい? 『ハダル』からケンタウルス座、ケンタウルスは「神曲」の中にて地獄で生前暴君であった者を懲らしめる獄卒だという。もしこのことを知っていたら、王制を打ち倒した者に当てるのは不思議じゃない。
ファンタジーが得意か。
『達』を『たち』とひらがな。特徴の可能性有り。


予想 → 九里史生さん 『WORDGEAR


SFメインだが、舞台にファンタジーの要素。
またゲーム世界が舞台。ゲームであれば、名前に意味を持たせることもあるかな? 神話もよく関わるか。
『達』を『たち』と平仮名選択。(一致)
理由としては小さいが、『王宮』の選択。城ではない。






E-05  いとしのメリラ

感想:
ああ、この兄は「バカ」なんですね、と、一瞬にして分かる二言目が素晴らしい。肌身離さずて。いや、いい兄貴だ。素晴らしい兄バカっぷり。さりとて妹も妹で一筋縄じゃいかないときた。楽しそうな兄妹だなー。周囲は絶対気苦労多かろうて。
コミカルなやり取りの後ろに「マリッジブルーな兄貴」の風景が重なって、終始ニヤニヤさせられて、そしてしんみりと。
だけど、一番印象に残ったのは、兄の妻。この人、懐深いな、と最後に全部持っていかれました。夫の妹への感情をちゃんと知っていて、それを認めていて、丸ごと抱擁しているような。
ラストの妻のセリフ、これは自分たちにも重ねているんでしょうか。ようやくフィリックの心が自分に寄り添う、と。直前の「夫は妻のもとへ戻る」が印象的で、そうとも読めるし、単純に祝福の日を謳歌しているようにも読める。
フィリックがしっかり地を固めた中で、活き活きと動く女性達が眩しかった。


推理メモ:
タイトル、『いとしのレイラ』のもじり? だとすれば洋楽好き?
ドレスの描写丁寧。
『達』を使わず、『たち』。
!!が半角!!で、!が全角。!?も同じように半角。フェイクの可能性も念頭に。
「アメリカかぶれ」。洋画をよく見ているか、海外作品をよく読んでいるか。少し昔を舞台にしたものが第一候補。


予想 → 虹屋よしゆきさん 『夕虹屋


『達』を使わず、『たち』。(一致)
洋画好きで、歴史フィクションが読書傾向に。(一致)
印象的な冒頭の叫びと同じ「ぉ」で伸ばす表記も見つけたので。このノリに共通の匂いも感じた、かな。






E-06  レディ・ホログラムの歌声は

感想:
宇宙開拓時代のSFといった雰囲気が漂い、しかし舞台が骨董屋ということで奇妙な懐かしさも漂う。
そこに現れる、歌声のない歌姫の描写がなんともいえず、綺麗。科学の発展した世界のはずだけど、イメージに浮かぶのは西部時代の光景。ただ、そこかしこにある技術は未来。
ミスマッチのようでしっくりくる世界観に酔える作品。そこにホログラムのシンガーが哀愁にも似た華を添えていて、いいなあ。
青年と老人の交流も心地良く、ふとした言葉からもしやと思えば、最後はやはりと微笑ましい。語りの口が懐古の心を帯びながらも穏やかで、全体の流れもスマートだから、穏やかな一時を一緒に過ごした気持ちになる。
声のないホログラムに声が戻ってきた時の描写が鮮やか。ノイズの走るホログラムは、アナログレコードのノイズを目に見せているのか。だけど声は美しいのでしょう。望郷を望む歌、という選曲もグッドです。


推理メモ:
『ミステリ』。「ミステリー」ではない。こだわりか、こちらの表記を選んでる可能性有り。
言葉、単語、アイテム、トータルで世界観を成立させている。
SFだが、SFをかならずしもメインにしていると思わなくても良さそう。人の交流をメインにすえている人か?


予想 → 裏乃さん 『空創造


SF短編に通じるものを感じた。望郷と言うか、回想的なテーマ。
ミステリの表記(一致)






E-07  夜になったら会いに行こう

感想:
地の文と会話の切り替わりがテンポよく、読んでいて楽しい文体。
さくさく読めるわりに、しだいに展開と会話の間に不吉な影が見え隠れしてくる。
ライトな語り口の裏に大きな感情を忍ばせているような雰囲気は、もしかしたらこの話は回想する主人公の独白なのでしょうか。
手紙を読み、そして鮮烈に思い出された記憶を。
「少年」であるが故の罪深さ……のようなものもあり、しかしもし彼女の「未来」を知っていたからといって主人公に何ができたかという疑問もあり。
何よりも、病床の少女の不器用さが切ない。手紙の中の、諦観に溢れた文がまた切ない。
しかし、読後感はどこか爽やか。
それはきっと、「星」になりたいと願う少女の優しさのせいなのでしょうね。


推理メモ:
一人称手馴れてる? 地と会話を融合させるタイプ? 三人称との切り替わりから、この形式か、二人以上の視点を交互に入れ換える一人称の作品を持っている可能性有り。
メモ帳を使って書いている可能性有り。
会話に三点リード多用。会話のリズムをリードで取るタイプか。
場面転換の空白を、経過した時間を演出している。
!、?と」の間に空白有り。慣れてない?


予想 → 小梅さん 『PLUM


会話中三点リードの多用(一致)
会話と地の部分の割合に共通、あるかな。
!、?の後の空白なし。もし!と?の後に空白を入れることに慣れていないのであれば、推理メモと一致する部分有り。
年齢的にもこの世代の死生観をリアルに書けるかな。






E-08  小天狗の森

感想:
ああ、耳に「まんが日本昔ばなし」の声が……。
民話調のテーマに合った、会話の中の言葉が楽しい。いたずら好きの小天狗の描写が活き活きとして、それを追いかける雪の姿も目に浮かぶよう。
小道具の描写にどんどんイメージが固められていくのが楽しく、お陰で登場人物たちの動きがどんどん鮮やかに。
翔陽のヒーローっぷりが素晴らしい。爽快な英雄譚。だけどいたずら好きらしいオチ。それがまたキャラクターを立たせて思わずニヤリ。そりゃ命の恩人だろうが追い掛け回しますって。
翔陽は「黒い岩」の近くでしか力を発揮できないのかな? まだ修行の身と言っていることは、色々なことを自覚しているみたいだけど、いつかはどこでも「天狗」になるんだろうか。
そうなったら雪は守り神の嫁さんになるんだろうけど、まあでも、尻に敷かれそうな気がするな、翔陽は。


推理メモ:
昔話の語り聞かせを受けているような口語調から、文語へ。
小道具の描写丁寧。時代劇を書いているか、それとも関連する知識が深い可能性。
コミカルもの得意そう。
ルビに《》を使用。


予想 → 梨沙さん 『小部屋の小窓


ルビに《》使用。(一致)
以前に時代劇(一致)。しかしこの時代劇作品、前回の企画への応募作。同じジャンルを二度も出してくるか? それともそれ自体がフェイク? リベンジ?
コミカルものあり。にやりとさせられる掛け合いは共通している気がする。(一致)
『05』と物凄い悩む。存じ上げている方。タイトル見た瞬間『05』だと思ったけど。未だに悩むなー。フェイクに引っかかっている気もする。






E-09  星の音見つけて

感想:
女の子二人の会話、そして陽気な子どもっぽさが面白い。そして語り手の女の子、わりとツッコミ気質で毒も持っていそう。確かに「見えない」のはいないと同じことだよね。ホソマキの描写には笑かしてもらいましたとも。偉人もそう使われると立つ瀬がないですねぇ(笑
音楽の描写がお見事! 前半では活字と音楽用語で描写されていた曲が、後半ではイメージで表現されて、目に入った活字がそのまま音符になって耳に届いてくる感じ。これはよほど音楽に愛情と造型があるのかな。顧問の怒り方もリアリティがあって、ああ、こんな感じだったなと以前見たテレビのドキュメンタリーを思い出しました。
チームの中から一人追い出される切なさも、クる。それを救い上げる「先生」は、本当に音楽が好きな人だったんだなと分かるやり取りが心を温める。曲のようにドラマチックに彩られた話が心地良かったです。
ところで、場面転換の「♪」は効いてますね。目に入った瞬間、気持ちよさがありました。


推理メモ:
吹奏楽経験有り? それとも身近にいたか。
やはり音楽経験ありそう。それとも音楽が大好きか。
!!、!?が半角。!、?が全角。
女性? 小学生の女の子の描写が、しっくり。


予想 → 櫻井水都さん 『AQUAPOLIS


!!の共通。(一致)
「心の居場所」というテーマが通じるかな。亡くなった先生の魂の居場所にもかかる。
歌が好き。音楽が好きなよう。(一致)
楽器ができない、とのこと。主人公にカウベル持たせた動機にかかるか?
女性。(一致)
(『05』可能性のみ)『06』と歌の関係するもので悩む。けど、一番音楽が大きな割合を占めるこれに決定。






E-10  フォーチュン・スター

感想:
事故の描写が、惨事のことだというのに強烈な色彩のインパクトで一種の美しさがありました。
しかし、お題の「星」がそこで出てくるとは。確かにそれは天文学的な確率の不幸。たまにニュースで「落ちてきました。幸い怪我人は」と聞くけれど、本当に当たった人を聞くことはない事故。
感情を押さえられた語りが、物語を暗く押し殺しているけれど、それが我が身に対する嘆きではないためにより切実。主人公が語った自分の描写に対してこの文体は違和感があったけど、なるほどこうなるのも当然ですね。
淡々と続く物語はさめざめと。いじめの構図が陰湿で、リアル。暗い裏道を歩いているような展開の後、ずっと堪えていた感情が溢れるラストは、熱い。
文体の温度は変わらずに、だけど二人の少女の友情が力強く、輝いている。
残酷な「運命」の中だからこそ、清々しい「運命」の光景が何よりも美しい。二人の今後が気になるけれど、幸運の星の加護があると信じたくなります。


推理メモ:
『かように』硬い文体の蓄積有り?
レアリティ、英語表記に注意。フェイクの可能性ももちろん。
『嵌合』語彙も豊富。
なんとなく、作者さんは女性かな?


予想 → 曽野 十瓜さん 『That's right.


語彙豊富(一致)
硬い文体を書ける(一致)
陰湿な情景の描写がリアル。特に女性側の描写。この作品にも通じていると思う。
性別非公開ではっきりとは分からないけど、小説や、特にblogを読むかぎり女性の方かと。(一致)






E-11  光の手

感想:
口語混じりのリズミカルな文体に、人物達の思いが軽やかに印象付けられていく。
それぞれにそれぞれなりの重圧を抱えながら、それを受け入れて前向きに進んでいく二人の主人公は健気ですね。
この二人が邂逅するであろう事は途中で分かりましたが、それでどうなるのか。そう思いながら読み進めていると、小さな偶然が作った結末に複雑な感情が。
温かい、とは違う。しんみり、とも違う。
はるかが楽しくないと感じていた塾の講義で出てきたHR図。そのエピソードはそれまでのはるかの思いを補強するだけのものかと思っていたら、そう絡んでくるとは。自分と同じようにHR図を受け止めようとしていた少年の、だけどそう思い込むことをやめて前に進もうとする決意を聞くはるかの様子が印象的です。
「いい子」であることを理屈を通して義務的に、それともあるいは強迫的に受け入れていた彼女は、これからまた違う道を選択するのかもしれませんね。


推理メモ:
短く読点で切ったリズミカルな文章。
『達』を使わず、『たち』。
ルビが《》。
!?が半角。
区切りが『***』


予想 → 土塀賦之さん 『爆裂ダッシュ


!?が半角(一致)
区切りが『***』、またそれが中央揃えの作品有り(一致)
『達』を使わず、『たち』。(一致)
一つの対象を二つの視点から書く作品有り。この作品にも通じるかな?

投稿者 楽遊 : 2007年02月10日 00:56

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