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2007年02月16日

覆面作家企画2・Dブロックの感想

この企画に参加して、僕は感想下手だなーと痛感しました。
んー、もっと皆さんみたいにユーモラスで的確な感想をかけるようになりたい。

続きを読むからDブロックの感想です。





D-01  足跡

信也が音楽という「枠」にはまることを嫌がっていたこと。ただ音楽性の違いを表しているのかと思ったら、信也というパーソナリティの深みに関わる理由だったんですね。
一方で奔放なミュージシャンでありながら、一方でガチガチに「枠」にはまった人生を送っている。奔放な姿は信也が自分を保つためのものでもあったのかと推測すると、語られた彼の姿全てに悲しさが射し込んで、切ないなあ。
信也がどうして死んだのか。気になることですが、謎だからこそ良かったと思います。こういうと不謹慎かもしれませんが、死因が謎であるからこそ魅力が深まることがありますから。
それに誰にも本当の自分を残していかなかった信也にとっては、それはもしかしたら、満足な死に方だったのかもしれませんね。……寂しいけど。






D-02  兄嫁

あー、弟君はこの先女性恐怖症になるんじゃなかろうか、と思えて仕方がないラストが……。
でもまあ、この弟くんの七緒さんへの思慕の念、接しているうちに七緒さんに惹かれたのもあるでしょうけど、それより偏屈ながら優秀な兄に対するコンプレックスからきている気がして素直に応援できなかったので(笑)、読後感は全く悪くありませんでした。
冒頭と文中の描写で兄弟の性格とその仲の歴史が一気に浮きぼられて、巧いなー。
しかし七緒さんの最後のセリフはどこまで本心なのでしょう。もちろん嘘じゃないでしょうけど、頭が良けりゃ教授になれるってわけでもないですから。打算的ならそれも織り込むはず。ということは、あえて弟くんの情を切るために言ったのかな?
……それはそれで容赦ないか(笑






D-03  オチボシ

軽妙で客観的でシニカルな語り口、なのにぐいぐいと目を走らされる筆力に圧倒されました。『オクラホマミキサー』とか『ペシミズムが足りない』とか、よく出てくるなと感嘆。
で、ユーモアあって人間関係生々しくリアルで、面白いときて、あれ? もう最後? 一体これどうやってまとめるつも――うを!? 怖っ!
オチの衝撃が過ぎた後、短編としてオチまでの完成された構成力にも驚嘆してました。
読み終わった後は、これ他殺の線を疑われたら順当に主人公が犯人だと分かるよな。人が上から落ちてきたら反射的に落ちてきた方向を見る人もいるだろうから鍵落とす時に姿見られている可能性あるよな。ああ、捕まるわ。
……とか、色々考えまくりですよ。完全に作品に仕込まれていた毒に中った証拠です(笑
そして取調室でもこの調子で語るかなと思ったら、ちょっと面白かった。






D-04  星に願いを
(自作)






D-05  キリステ様の掌に杭は刺さらない

勘違いしやすい男性の天敵。彼女が通った後にはブレイクハートの男どもが死屍累々。あ、なんかすっげーカッコイイ映像が浮かんできた。
実は「へー、『キリスト』って『キリステ』って読むこともあるんだ」と、タイトルのみで表記の問題だと思い込んでいました。屋上での二人の会話の途中で意味に気づいて愕然としましたよ自分の察しの悪さに。
にしても聡子は潔い。これだけ覚悟が凛としているのなら、良くも悪くも人の目を引くのも当然ですね。そのうち珠美みたいな教徒を増やしてカリスマになりそうだ。
でも聡子が本命を見つけた時は凄そうですね。相手が誰だろうと文字通り命がけで愛を貫きそうで、かなり気になりました。
最後、脳天気にやってきた彼氏の行く末も気になりましたが……(苦笑



僕はこの作品と予想されていることが多かったのですが、作者は女性だ! という方がたくさんいらっしゃったのでびっくりしてました。僕……あの、男です。もしやこのHNって女性っぽい?
で、作者さんが男性だったのでさらにびっくり。マジで!?





D-06  なつやすみ

おばさん最高!
いや、このキャラは強力ですわ。イマドキのエンコー中学生も毒を抜かれるわ。
それにしても主人公のキャラもいい。一人称の語り口にほどよくバカっぽさ(誉め言葉ですよ)が出ていて面白い。テーマ的には社会派作品にもなりそうなのに、軽々とそこらへん飛び越えてエンターテイメントしながら深みもある。
おばさんの「実は今もグレたアキちゃんを見るのが辛かったりしましてよ」はいいセリフです。これをこんなおばさんに言われちゃきついや。
おばさんと主人公の救う救われるの逆転が面白くて、しんみりもして。
この二人の田舎暮らしは楽しそうですねー。何をするにも漫才になりそうです。おばさんの作風もかわっちゃったりして。





D-07  砂糖星

描写が素晴らしい。「春」と「零れ落ちる」。普通結びつかないこの二つを結び付けただけで、冒頭から鮮やかな春の風景が浮かび上がってる。ああ、『文章の強さ』だ。
そして物語が春の爽やかさとは対照的に、過去の出来事を悔いる内容だから対比の強調も手伝って効く。悪意のない嘘が招いたことだから、さらに。子どもの頃の後悔って、年を経るに連れて大きくなる気がします。謝れなかったというのはその代表かもしれませんね。
ラストのクスさんのお孫さんとの交流は、そんな後悔の上にあるから切なさもあるのに、温かい。今度は騙されたままでいいという主人公の思いもいい。この二代目さんも、主人公と同じように金平糖をもらっていたんでしょうね。
春先のような雰囲気に包まれているような気持ちになる話でした。



僕が一番多く予想を受けていたのがこの作品でした。
表現・描写が凄いと思っていたので光栄でした。しかし僕はまだまだ。よーし、もっと表現力磨くぞー!





D-08  掌の中の星

そう、コタツにゃみかんだよね! 個人的には鍋食いながら焼酎でもくーっといけたらもう言うことありません! ……いやいや。
ナーバスになった時に、こういう相談ができる相手がいるっていいですよね。自分に近いところから言葉を掛けてくれて、しかもアドバイスが茶目っ気あるからほっとする。
特に小道具の使い方が巧いなと思いました。初めに出てきた肉じゃが、それからコタツとお茶にみかんと来て、そうそう、丸くなる猫。最後に甘くほどける金平糖。温もりのイメージがあるアイテムで畳み掛けられて、完全に頭の中はほのぼのです。
お題も複数重ねてあるから、この点でも楽しかった。
あやふやな迷信よりも食べることのできる星の方が言いというみづきちゃん、余裕あるいいお姉ちゃんですね。佐登子ちゃんは大学受験の時も甘えるといいと思うよ。






D-09  夜に一月蝿がやってきて

驚きようを『四百字詰め原稿用紙二十枚分あっても書き尽くすことはできない』と言われちゃあ笑うしかありませんって(笑
流れるように展開する主人公の語りが面白かった。いわゆる「天丼」も絶妙な按配で、『日本史の問題集』『超能力捜査の特番』と来て『DSえいご漬け』でもう駄目だー。大笑いです。息抜きにゲームで勉強している受験生、いいなぁ。
ひたすら何を願うかっていう主人公の葛藤が面白く、さてこれはどう終わるのかなーと思っていたら……おう、ブラック。意表を突かれましたよ。そりゃないぜ。
や、むばえの『心得た』の後の描写でどうなったのか予測はつきましたが、主人公の最後の一言がそうさらりとくるとは思わなかった。結末が結末だからこう言うとなんだけど、小粋で痛快でした。






D-10  願い星が降る夜に

事故や記憶の一部が欠如していることを淡々と語るからか、色々な感情が抑えに抑えられた文体に、緊迫した場面ではないはずなのに緊張感がびしびしと伝わってくる。
トウジはトウジで何か大きな責任を背負っているようで、それは目の前にして事故から助けられなかったからなのでしょうか。自分の人生も変えているくらいだから、よほど重い理由があるのか、よほど夏夜に惚れているのか。
肝心の部分が謎のままだから、トウジの『新しい記憶が積み上がっているはずだ』というセリフがストレートに響く。
夜空の下の丘の静けさが二人が溜め込む感情を包み込んでいるようで、そこに漂う挽き立てのコーヒーの芳ばしい香りが心解きほぐすような、緊張感の最後には優しさを味わえる話でした。






D-11  曇りのち雨 ところにより神さま

冷凍イカが解凍されているような動きをする神様! それをどつくヒロイン!
おかしなコンビのおかしなほのぼの生活が楽しい。ひたすら優しい神様のセリフがいちいち沁みる。こういう神様が横に並んでいくというなら、選択した道を進むことにも勇気が出るでしょうね。
なのに最後、天音の告白で世界が急に色褪せる。真実が明かされた途端、それまでの神様と天音のやりとりが急激に悲しみを帯びる。ということは、レスレッティが見ているのは生きていた時の日常を繰り返すだけの残留思念か、それとも現実から少しずれたところにいる死者の世界なのか。
いつか天音が神様を「追い出す」時、どんな光景が繰り広げられるのでしょうか。天音たちは、レスレッティが放っておいたから荒れたと言われた星で命を落としたというわけなのだから……。切ない。




皆さんと同じブロックで参加できて本当に楽しかった。
お世話になりました。

投稿者 楽遊 : 2007年02月16日 01:31

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コメント

初めましてー。ブロックでご一緒させていただいた紅月赤哉と申します。僕の作品に間違われた人とは今後も交流していきたいなーと思い書き込みしてみました。
お互い女性に間違われる小説書くってことですね!(笑)>僕男性

では、朝の電車からでしたノシ

投稿者 紅月赤哉 : 2007年02月16日 08:17

初めまして、紅月さん。書き込みありがとうございます。
覆面作家企画2、楽しかったですねー。
女性に間違われる小説書けるって、すごい誉め言葉ですよね!(笑)

> 僕の作品に間違われた人とは今後も交流していきたいなーと思い書き込みしてみました。

こちらこそ仲良くさせていただけたら嬉しいです。
紅月さんサイト、色々なことされていて充実していますね。
それに凄い速筆、羨ましい……。
今度こちらからも足を運ばせていただきます。

それでは、今後ともよろしくお願いします(^^

投稿者 楽遊 : 2007年02月16日 21:15

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